どっちの料理しよう??③ ♪ Rocket Man ♪

ストラテジストのいまを読み解くブログ | 2019/8/21 | 重見 吉徳

債券と株式、どっちがバブルか?③ 歴史は繰り返す?

(今日は、5-10年くらい先の話をします)

昨日のエントリー冒頭の『アポロ計画』に関連し、マーケットには「(同計画が実施された)1960-70年代が復活する」という人もいます。

1980年代以降、40年近くにわたって「債券価格も株価も上昇を続ける時代」が続いてきました。

今度は「(1960年代のように)財政出動と金融緩和によってインフレが生じ、(1970年代のように)債券価格も株価もどっちも下落する時代」が来るのではないかという見立てです。

出所:S&P Dow Jones Indices LLC、Bloomberg Finance L.P.、J.P. Morgan Asset Management
データは2019年8月19日時点で取得可能な最新のものを掲載。



1960年代には、

  • ケネディ大統領の『アポロ計画』(→「人間が月に行く」ことをアメリカ人が目指し、達成するという、アメリカ「黄金の時代」の象徴)、
  • リンドン・ジョンソン大統領の『貧困との戦い』(→社会保障の拡大)、さらには、ベトナム戦争への突入、
といった、巨額の財政出動がなされました。

これに続く、1970年代には、ニクソン大統領による

  • 『ニクソン・ショック』(金ドルの兌換停止と、輸入関税の10%引き上げ)
  • 賃金と物価のスパイラル的な上昇を呼んだ『所得政策』(→賃金・物価統制政策)
があり、インフレをコントロールできなくなりました。

また、象徴的な出来事として、ニクソン大統領は、1972年の再選に向け、アーサー・バーンズFRB議長(当時)へ利下げを要求します。現在の、トランプ大統領によるパウエルFRB議長への働きかけに似ています。

出所:米連邦準備制度理事会(FRB)、米労働統計局(BLS)、Bloomberg Finance L.P.、J.P. Morgan Asset Management
データは2019年8月19日時点で取得可能な最新のものを掲載。



企業活動は、インフレや高金利によって妨げられ、1970年代は『株式の死』*と呼ばれました。

*実際には、皮肉にもBusiness Week誌が『株式の死』という言葉を表紙に採用した頃に、株価は大底を打ちます。その日が1979年8月13日で、ちょうど40周年です。

出所:S&P Dow Jones Indices LLC、Bloomberg Finance L.P.、J.P. Morgan Asset Management
データは2019年8月19日時点で取得可能な最新のものを掲載。



今回の景気拡大局面において、中央銀行は、インフレ目標を達成できないどころか、

  1. リスク資産価格を押し上げ、実体経済との不均衡を増大させることにより、金融市場や実体経済を不安定化させる、
  2. 格差の拡大を助長する(→株価は上がるが、賃金は上がらない)、
  3. 金融機関の収益性を引き下げ、金融仲介機能を棄損させている、

ように見えます。

そうした中で、いくつかの政府は、中央銀行に利下げを要求し、また、中央銀行の貨幣創造能力を当てにした財政出動を目論んでいるように思えます。

中央銀行は、「インフレ目標、やれます、やれます」とできないことをやろうとしてしまったがために、信頼と独立の両方を失う危機に立たされているように見えます。それは、中央銀行の危機というよりも、単なる過去への回帰かもしれません。

中央銀行が、財政当局に従属的になれば、「インフレ→株価と債券価格両方の下落」は、繰り返されるかもしれません。

米国の財政赤字は、2018会計年度の終了まで2ヵ月を残し、昨年を上回っています。

出所:米財務省、Bloomberg Finance L.P.、J.P. Morgan Asset Management
データは2019年8月19日時点で取得可能な最新のものを掲載。




エルトン・ジョン vs. クイーン 両者の共通項は?

8/19のエントリで、「タイムリーなエルトン・ジョンの話をしたい」と書きました。ライトに書きます。

エルトン・ジョンの名曲♪Rocket Man♪は、火星に行く宇宙飛行士を描いています。「なぜ、エルトン・ジョンがタイムリーなのか」は、いろんな制約のために、ご自身でお調べいただきたのですが、実は、エルトン・ジョンに先駆けて(同じ共通項で)昨年末から再ブームになったクイーンには♪Don't Stop Me Now♪という名曲があります。実は、この曲にも火星に向かうロケットが登場します。2曲を聴きながら、両者は不思議な縁だなと思いました。

今回の一連のエントリで取り上げた『アポロ計画』もそうですが、宇宙飛行士はいつか地上に還ってきます。それは、マーケットと同じです。

「上がったものはいつか下がる」、これはマーケットの常です。いつまでも上がり続ける、下がり続けると思うときに、足元をすくわれます。それはおそらく、過去40年の債券価格や株価に当てはまるでしょう。