注意すべき15のチャート②(金融市場編)

ストラテジストのいまを読み解くブログ | 2019/5/21 | 重見 吉徳

『注意すべき15のチャート①(実体経済編)』からの続きです。)

次に、金融市場での警戒感の高まりや資本逃避の動きを確認します。

米国国債の長短金利差は再び、逆転しました。過去50年で8回逆転をし、そのうち7回が景気後退に続いています。3月の逆転は「過剰反応」という向きも多かったように記憶していますが、今回もそうでしょうか。

出所:Bloomberg Finance L.P.、J.P. Morgan Asset Management
データは2019年5月20日時点で取得可能な最新のものを掲載。


主要国の長期金利は低下、資本は、安全とされる国債に向かっているように見えます。

出所:Bloomberg Finance L.P.、J.P. Morgan Asset Management
データは2019年5月20日時点で取得可能な最新のものを掲載。


そもそも米国、ユーロ圏、英国、日本の景気は『終盤戦』と見られますが(→例えば、景気に遅行する失業率はリーマン・ショック前を下回るか、同水準)、それに加えて、米中貿易戦争、Brexit、イタリア、イラン、北朝鮮、ベネズエラなど、政治や地政学のリスクは高まっており、投資家の警戒感は価格に反映されつつあるように思えます。

出所:Bloomberg Finance L.P.、J.P. Morgan Asset Management
データは2019年5月20日時点で取得可能な最新のものを掲載。


このところ、新興国市場からは、資金の流出が続いています【下図11の黄緑】。新興国で大きな問題が意識されているようには見えませんが、投資家がリスクを減らしているように見えます。

確かに、最近の半導体株式の下落は、米中貿易戦争の影響もあるでしょうが【下図11の緑】、①そもそも半導体株式は株式市場全体に先行すると言われていますし、②誰かがどこかで(米国株式全体や日本株式に先んじるかのように)リスクを落としていることに違いありません。

出所:フィラデルフィア証券取引所、MSCI、S&P Dow Jones Indices, LLC、Bloomberg Finance L.P.、J.P. Morgan Asset Management
データは2019年5月20日時点で取得可能な最新のものを掲載。


新興国通貨も同様です。人民元も売り圧力にさらされています。

出所:J.P. Morgan、Bloomberg Finance L.P.、J.P. Morgan Asset Management
データは2019年5月20日時点で取得可能な最新のものを掲載。


穀物価格は、米中貿易戦争で最も悪影響を受けていると考えられますが(→中国による関税引き上げの影響;トランプ政権下の米国の農林水産業の名目GDPは、オバマ政権下に比べ、4.6%減少)、その動きは、米国の長短金利差と似ています。かたや「中国の関税引き上げ」、かたや「景気の過熱・成熟」という意味では、どちらもトランプ・リスクが深化したものと言えなくもないでしょう。

出所:Bloomberg Finance L.P.、J.P. Morgan Asset Management
データは2019年5月20日時点で取得可能な最新のものを掲載。


産業金属価格は足元で下落しています。景気減速懸念が反映されている可能性があります。

出所:ロンドン金属取引所、Bloomberg Finance L.P.、J.P. Morgan Asset Management
データは2019年5月20日時点で取得可能な最新のものを掲載。


ビットコインの価格は、かつてはVIXと逆方向に動くように見えましたが、最近では、VIXと同じように動いて見えます。政治の対立や金融政策の方向性(①利下げや、②MMT≒財政当局とのコラボレーション)からの逃避と言えるかもしれません。

出所:シカゴ・オプション取引所、Bloomberg Finance L.P.、J.P. Morgan Asset Management
データは2019年5月20日時点で取得可能な最新のものを掲載。