Hazard!(危険!)②

ストラテジストのいまを読み解くブログ | 2019/4/25 | 重見 吉徳

金融市場では、リスクテイクが強まったり、取引のポジションが極端に傾いたりしています。

過去に従えば、こうした状況は長続きしません。日本の個人投資家は要注意です。

今日取り上げるのは「あるセクターやスタイルの相対的な割高さ(≒株式市場での偏ったリスクテイク)」と「景気循環に先行するセクターの低調さ」です。


次の図は、米国の大型グロース株式と、大型バリュー株式の相対価格リターンを見たものです。大型バリュー株式との相対で見た大型グロース株式の株価は、2000年のITバブル直前付近まで上昇し、グロース株式が極端に選好されています(注1)。

出所:Russell、Bloomberg Finance L.P.、J.P. Morgan Asset Management
データは2019年4月24日時点で取得可能な最新のものを掲載。




さらに、米国の景気敏感セクターの株式と、ディフェンシブ・セクターの株式との相対価格リターンを見てみましょう。ディフェンシブ・セクターとの相対で見た景気敏感セクターの株価は、やはり2000年のITバブル直前付近まで上昇し、景気敏感セクターの株式が極端に選好されています(注2)。

出所:MSCI、Bloomberg Finance L.P.、J.P. Morgan Asset Management
データは2019年4月24日時点で取得可能な最新のものを掲載。




上で見た「グロース株式の選好」と「景気敏感セクターの選好」を象徴するのは、情報技術セクター株式です。S&P 500全体との相対で見たS&P 500情報技術セクターの株価は、やはり2000年のITバブル直前付近まで上昇し、情報技術セクターの株式が極端に選好されています。「景気回復の先読み・先取り」と「低金利環境の継続期待」から選好されているようです。

出所:S&P Dow Jones Indices, LLC、Bloomberg Finance L.P.、J.P. Morgan Asset Management
データは2019年4月24日時点で取得可能な最新のものを掲載。




次に、景気循環に先行して動くと言われている2つのセクターを見てみましょう。


次の図は、米国の小型株式(Russell 2000)と、大型株式(S&P 500)の相対価格リターンを見たものです。S&P 500は史上最高値を更新する一方で、景気循環を先取りすると言われている小型株式は低調さが続いています(注3)。

出所:S&P Dow Jones Indices, LLC、Russell、Bloomberg Finance L.P.、J.P. Morgan Asset Management
データは2019年4月24日時点で取得可能な最新のものを掲載。




さらに、S&P 500の金融セクターの株式と、S&P 500全体との相対価格リターンを見てみましょう。景気循環を先取りすると言われている金融セクター株式は、先に示した小型株式と同様に、低迷が続いています。

出所:S&P Dow Jones Indices, LLC、Bloomberg Finance L.P.、J.P. Morgan Asset Management
データは2019年4月24日時点で取得可能な最新のものを掲載。


以上、見たように、金融市場では、リスクテイクが強まったり、取引のポジションが極端に傾いたりしていますから、短期的な「巻き戻し」には注意が必要と考えています。




注1:

「大型」とは、時価総額が相対的に大きい銘柄を指します。

「グロース株式」は「成長株式」とも呼ばれますが、これらは、売り上げや利益の成長期待が高い銘柄です。「成長期待が高い」ということは、「業績は(株価に比べれば)成長途上」ということの裏返しであり、割高な株式が含まれる傾向があります。

「バリュー株式」は「割安株式」とも呼ばれますが、これらは、その名のとおり、株価やバリュエーションが、業績や株式市場全体などに比べて、割安に放置されていると考えられる銘柄です。


注2:

図9で使用しているのはMSCIの指数ですが、MSCIの定義に基づくと、「景気敏感セクター」には、「一般消費財・サービス」、「金融」、「資本財・サービス」、「情報技術」、「素材」が含まれます。

MSCIの定義に基づくと、「ディフェンシブ・セクター」には、「生活必需品」、「エネルギー」、「ヘルスケア」、「通信サービス」、「公益」が含まれます。


注3:

「小型株式」は、時価総額が相対的に小さい銘柄を指します。