中国の金融指標が改善

ストラテジストのいまを読み解くブログ | 2019/4/15 | 重見 吉徳

先週金曜日の夕方に、中国人民銀行(=中央銀行)が、3月分の金融に関連する指標を発表しました。具体的には、人民元建て貸出、社会融資総量、マネー・ストック(M1やM2など;すぐ後で説明)です。

これらの指標は、中国国内での信用の伸びの加速を示唆しており、財政出動や金融緩和の影響が表れているように見えます。

まず、マネー・ストックのうち「M1」を見てみましょう。次の図で示すとおり、M1は、3月分が前年同月比で+4.6%と、2月からの+2.0%(同)から、伸びが加速しています。足元で、中国人民銀行は足早かつ大幅に、預金準備率を引き下げていますが、過去の引き下げ時期を見ても、M1は、預金準備率の引き下げに若干のラグ(遅れ)を伴って、伸びているように見えます。

出所:中国人民銀行、Bloomberg Finance L.P.、J.P. Morgan Asset Management
データは2019年4月15日時点で取得可能な最新のものを掲載。


ここで、M1とは、流通紙幣と要求払預金(当座預金や普通預金などの短期の預金)などを指します。「M1が伸びる」ということは「経済活動が活発化している」可能性を示唆します。

住宅ローンを借りた方はご想像ができるかもしれませんが、銀行が企業に貸し出しを実行する際には、「融資を受ける企業が自行に保有する口座に資金を記帳(クレジット)」する形を取ります。つまり、企業にとってみると預金が増加します。

融資を受けた企業は、その預金を口座にずっと置いておくわけではありません。材料の仕入れや設備投資など、何かの財やサービスの購入に充てます。この裏側では、(そうした財やサービスの)納入企業が支払代金を受け取っていますから、今度は、納入企業の預金が増えます。この納入企業は、その資金を、そのさらに先の納入企業への(新たな生産のための仕入れ等の)決済に使ったりするでしょう。

このように、「預金を追う」ということは、その反対側である「決済=購入」を追うことに似ています。「経済とはなにかを購入すること」ですから、預金(と購入)の増加は経済活動の活発化を示唆します。

次に、社会融資総量を見ましょう。3月の社会融資総量の伸びは、2兆8,600億元で、2017年以降で言えば、過去3番目に大きな伸びでした。社会融資総量とは、人民元建て貸出や社債発行、貸付信託などの信用を集計したものです。

次の図に示すように、中国の製造業景況感指数は、この社会融資総量(年初来)の前年同月比に10ヵ月程度、遅れるように動きます(→景況感指数は、国家統計局集計と財新Markit集計の平均値)。

出所:中国人民銀行、中国国家統計局、財新、Markit、Bloomberg Finance L.P.、J.P. Morgan Asset Management
データは2019年4月15日時点で取得可能な最新のものを掲載。


信用の拡大によって、景況感が持ち上がっているという絵です。先ほどの述べたように、信用の拡大は、何かの購入の拡大ですから、今後は、実体経済の指標である工業生産や固定資産投資などが、さらに遅れて伸びてくる可能性があります。

この見方が正しければ、金融市場のみならず、世界経済にとってもプラスの材料でしょう。(ただし、金融市場では引き続き、かなりの注意を要することが多いと考えています。別の機会に述べます)