2019年の論点(と勝手予想)②FRBのバランスシート政策

ストラテジストのいまを読み解くブログ | 2018/12/13 | 重見 吉徳

「2019年の論点」、第2回目は「FRBのバランスシート政策」です。



現状の確認

  • FRBは現在、量的金融緩和で買い入れた国債やMBSを合計、毎月500億ドルずつ市場で売却している。
  • これは「バランスシートの縮小」と呼ばれる。
  • FRBが債券を市場で売却する反対側で、市場は債券を受け取り、FRBに代金を払う。つまりFRBはマネーを吸収している


FRBのバランスシート政策に関する(勝手な)予想→変わりますし、外れます。

  • このFRBによるマネーの吸収が、来年の後半にも(事実上)止まる可能性がある。
  • その方法は、①債券売却の停止、②割引国債の買い入れ、のいずれか・両方によってである。
  • 場合によっては、2020年あたりから再びマネーを増やす観測が出る可能性もある。
  • Q: なぜ、マネーの吸収を止めるのか?
  • A: フェデラル・ファンド金利(FF金利)が、FRBの意図以上に、上昇しているためである。
  • Q: どういうこと?
  • A: 背景と状況を、以下に説明すると・・・
  • 現在、FRBの政策金利の誘導目標レンジは、2.0-2.25%である(→ここから、図1を参照ください)。
  • このレンジに誘導しようとしている金利は、フェデラル・ファンド金利(FF金利)と呼ばれる、翌日物の銀行間金利である。*実際には、銀行だけではなく、証券会社や貯蓄・貸付組合(S&L)、政府系金融機関も含まれる。
  • 実務的には、現在は、2.25%ではなく、2.2%*を上限として、FRBは、FF金利をコントロールしようとしている。*超過準備付利金利(IOER)の水準が2.2%であり、銀行によっての無リスク預金金利である。
  • 現在、この銀行間金利(FF金利)の約定レートは、2.2%の上限まで上昇してきている(→図1で言えば、【オレンジ色】が【水色】に近接している)。
  • 出所:米連邦準備制度理事会(FRB)、Bloomberg Finance L.P.、J.P. Morgan Asset Management
    データは2018年12月11日時点で取得可能な最新のものを掲載。


  • ただし、まだ、米国全体の銀行システムには、余剰資金が潤沢にある(→図2の【水色】:ただし【水色】の準備預金の減少は、【青色】の保有債券の減少よりも早い)。
  • 出所:米連邦準備制度理事会(FRB)、Bloomberg Finance L.P.、J.P. Morgan Asset Management
    データは2018年11月30日時点で取得可能な最新のものを掲載。


  • Q: なぜ、余剰資金が潤沢にあるのに、金利が上昇?
  • A: 別の見方もあるが、「一部の金融機関が資金不足になっているから、金利が上がっているのでは」と考えられている。
  • Q: FRBはどうやって金利の上昇を防ぐのか?
  • A: 銀行間市場にマネーを供給する。
  • ①でも今やっていることは、これとは逆。債券を売りつけて、マネーを吸収している。
  • ②しかも、財務省が財政赤字のために、短期の国債発行増≒短期の資金吸収。
  • ③プラス、実体経済が拡大しているため、現金需要増(→お金がお財布に十分にないと、経済活動=日々の決済が停滞する。景気が拡大すると、取引量=使う貨幣の量が増える)。
  • 出所:米連邦準備制度理事会(FRB)、Bloomberg Finance L.P.、J.P. Morgan Asset Management
    データは2018年11月30日時点で取得可能な最新のものを掲載。


  • このままでは、政策金利をレンジ内にコントロールできなくなるし、一部の銀行が苦しくなる。
  • その前に、バランスシートの縮小=マネーの吸収を止める可能性がある。


マーケット反応に関する(勝手な)予想→変わりますし、外れます。

  • 確認①:マネーの吸収が来年の後半にも(事実上)止まる可能性。
  • 確認②:場合によっては、2020年あたりから再びマネーを増やす観測が出る可能性も。
  • それは、マーケットにとっての安心材料として働く可能性がある。なぜなら「マネーの増加⇒株高」という発想があるし、株価が下がり始めたのは「マネーを吸収しているから」との見方もある。