景気が鈍化するならば、どうすれば?

ストラテジストのいまを読み解くブログ | 2018/11/20 | 重見 吉徳

にわかに「一億総悲観」的な状況に陥っているようにも思えますが、そこで思考停止にならないよう、今日は、世界景気が鈍化するという前提ならば、日本株のどの業種が底堅いのかについて考えてみます。

まず、米国と中国の製造業PMIと、全世界の半導体売上高の伸びについて、確認をしておきます。

出所:米サプライ・マネジメント協会(ISM)、Markit、財新、米国半導体工業会、Bloomberg Finance L.P.、J.P. Morgan Asset Management
データは2018年11月15日時点で取得可能な最新のものを掲載。


中国の経済指標は、固定資産投資や小売売上高など、幅広い鈍化が鮮明ですが、米国についても以前に述べたように、設備投資や住宅の先行指標が急速なスローダウンを見せています。また、半導体については、企業決算などからも変調が鮮明になっています。

したがい、これら3つの指標は今後、減速していくものと見られます。

2010年以降のこれら3指標の動きを見ると、現状付近から揃って鈍化を示した局面が2度あります。

ただし、市場全体を見ると、これら2つの局面で、株価指数の動きは異なり、1度目は「株価指数は下落」、2度目は「株価指数は上昇」しています。

出所:東京証券取引所、Bloomberg Finance L.P.、J.P. Morgan Asset Management
データは2018年11月15日時点で取得可能な最新のものを掲載。


この2度目は、前回も述べたとおり、黒田バズーカ第2弾に熱狂して『トリプルメリット』を囃し、円安の裏側で進んでいたドル高や人民元高に全く気付いていなかったケースです。その後、2015年8月にいわゆる『チャイナ・ショック』(≒中国人民銀行による人民元の大幅切り下げ)に襲われます。

このように、2局面で株価の動きは異なるものの、業種の相対リターンは比較的似通っています。

次の図は、これら2局面における東証33業種指数のTOPIXに対する相対リターンの動きを見たものです。

出所:東京証券取引所、Bloomberg Finance L.P.、J.P. Morgan Asset Management
データは2018年11月15日時点で取得可能な最新のものを掲載。


これを見ると、これら2局面に共通して相対リターンが良好だったのは、医薬品・食料品・サービス・小売り・陸運などの、いわゆるディフェンシブ・セクターであったことがわかります。想像通りの結果と言えるかもしれません。

ただし、こうしたセクターにも注意点があります。それは、来年10月に控える消費税率の引き上げと、(いつ生じるかわからない)円高です。

後者については、ディフェンシブ・セクターと円の平均為替レートとの順相関性が低下しています。言い換えれば、リスクオフや米国の景気鈍化(≒米国の金利低下)が生じて円高になるときに、ディフェンシブ・セクターの相対リターンが底堅さを見せにくくなっている(≒ディフェンシブ性が薄れている)可能性があるため、注意が必要です。

ドル高からドル安への転換が(仮に起きると想定する場合)、(例えば、Brexitやイタリア財政問題、貿易戦争の解決・解消・緩和などの形で)欧州や新興国への資金シフト(≒リスクオンの一形態)として生じるならば、円相場への影響はおそらく限定的でしょう。一方、ドルの下落がグローバル景気の鈍化や米国金利の低下と共に、円に「しわ寄せ」される場合には危険を伴う可能性があるでしょう。

出所:東京証券取引所、J.P. Morgan、Bloomberg Finance L.P.、J.P. Morgan Asset Management
注:「円平均為替レート」は、名目実効為替レート。
データは2018年11月15日時点で取得可能な最新のものを掲載。