賃金の伸びが3%超え

ストラテジストのいまを読み解くブログ | 2018/11/5 | 重見 吉徳

11月2日に発表された米国の10月雇用統計は、確かに「堅調」でした。

非農業部門の被雇用者数は前月から25万人の増加、時間当たり賃金の伸びは前年同月比で3.1%となりました。

重要なポイントは、労働市場の経済指標の多くが、景気の動きにラグ(遅れ)を持って、変動することでしょう。

時間を意識しつつ考えると、企業は、自社の顧客の需要(注文や来店の状況など)を確認しつつ、生産量を決めるでしょうし、現在の労働や資本の投入量では需要に見合う生産量を達成できないと考えれば、労働や資本の「雇用」を増やします(→ここで「資本」とは、生産機械と読み換えてください)。

さらには、多くの企業が景気(=需要)の強さを実感し、労働や資本といった生産要素への需要が高まれば、賃金(=労働の価格)や金利(=資本のコスト)が上昇します。

このように、雇用と賃金は、景気にラグを持って動きますし、生産性を超える賃金や資本コストの上昇は、企業の利益率を押し下げます。

現在の失業率(3.7%)は1969年以来の低水準であり、筆者は、この点と今年前半の景気の勢いに鑑みて、賃金の伸びが今後加速する可能性は少なくないと見込んでいます。図を見ると、過去は、賃金の伸びが3%を超えると、伸びが緩やかになることはありませんし、政策金利は「引き上げ」もしくは「高めでの維持」が対応しています。

また、一般物価についても、(輸入関税の引き上げを含む)原材料価格の上昇、賃金や輸送コストの上昇などを背景に、販売価格の引き上げを計画している米国企業が相次いでいます(→例えば、Wall Street Journal, 2018/10/31, "That Big Mac and Coke Now Comes With a Side Order of Inflation, Airlines and food makers among industries passing along higher costs, raising inflation fears"を参照)。

出所:米労働統計局(BLS)、米連邦準備制度理事会(FRB)、Bloomberg Finance L.P.、J.P. Morgan Asset Management 注:「時間当たり賃金」は、生産・非管理部門。 データは2018年11月5日時点で取得可能な最新のものを掲載。