7つのブーム:その5 レバレッジ・ブーム

ストラテジストのいまを読み解くブログ | 2018/6/6 | 重見 吉徳

筆者は、現在の金融市場が次に挙げる「7つのブーム」で支えられている、と考えています。

1. 流動性ブーム
2. 生産効率化ブーム
3. M&Aブーム
4. 自社株買いブーム
5. レバレッジ・ブーム
6. テクノロジー・ブーム
7. ETFブーム

既に、お気づきのとおり、これらは互いに独立しているわけではなく、一方が他方を生み出していたり、互いに作用し合ったりしていると考えられます。いずれにせよ、これらは現在、それぞれの壁に直面しており、「7つのブーム」は「7つのリスク」に姿を変えつつあると、筆者は見ています。強気派にとっては「時間の問題」ですが、弱気派にとっては「時間こそが問題」と言えるでしょう。

本稿では、上記5の「レバレッジ・ブーム」について、考えてみます。


5. レバレッジ・ブーム

上記3のM&Aブームと、同4の自社株買いブームを支えてきたのが、企業によるレバレッジ(借り入れ)の拡大、レバレッジ・ブームです。

S&P500指数構成企業の負債比率は、直近が83.2%であり、ITバブル期や住宅バブル期を超えています。確かに(債務から現金などの流動性を差し引いた)純債務比率を考えれば、その水準はまだITバブル期や住宅バブル期には及びませんが、キャッシュが一部の企業に偏っていることを踏まえれば、中位企業の信用は徐々に悪化していると考えられます。例えば、S&Pグローバルによれば、世界の投資適格社債市場の中位格付けは、BBBマイナスと、投機的格付けの1歩手前まで低下しています。

また、国際通貨基金(IMF)によれば、投機的格付けや負債比率の高い企業向けの貸付であるレバレッジド・ローンの新規発行額は、2017年に7,800億ドルと過去最高水準を更新しています。借り入れの主要な主体である米国企業を見ると、新規発行の7割超が、借り手に対する制限条項を緩和したコベナンツ・ライトと呼ばれるローンであり、世界金融危機前は予想回収率が82%であったものの、2010年以降の平均は69%にまで低下しています。

こうした質の悪化と、これとは矛盾する低スプレッド、そして米連邦準備制度理事会(FRB)によるQT(保有資産の圧縮)を考えれば、クレジット市場の投資家は脆弱な状況に置かれている状況でしょうし、他の資産も一蓮托生と考えるほうが自然でしょう。