7つのブーム:その3 M&Aブーム

ストラテジストのいまを読み解くブログ | 2018/6/4 | 重見 吉徳

筆者は、現在の金融市場が次に挙げる「7つのブーム」で支えられている、と考えています。

1. 流動性ブーム
2. 生産効率化ブーム
3. M&Aブーム
4. 自社株買いブーム
5. レバレッジ・ブーム
6. テクノロジー・ブーム
7. ETFブーム

既に、お気づきのとおり、これらは互いに独立しているわけではなく、一方が他方を生み出していたり、互いに作用し合ったりしていると考えられます。いずれにせよ、これらは現在、それぞれの壁に直面しており、「7つのブーム」は「7つのリスク」に姿を変えつつあると、筆者は見ています。強気派にとっては「時間の問題」ですが、弱気派にとっては「時間こそが問題」と言えるでしょう。

本稿では、上記3の「M&Aブーム」について、考えてみます。


3. M&Aブーム

M&Aブームは、企業による「マージン拡大の追求」のうち、寡占化を指します。企業がマージンの拡大を追求する理由は、パイの拡大は鈍化しているにも関わらず、資本家が要求する収益率は変わらないためです。M&Aによる寡占化と価格支配力の確保は、生産移転や自動化と並んで、企業が利益を伸ばし続けるための有力な手段です。

調査会社ディーロジックによれば、2018年5月中旬までの世界のM&A金額は、約2兆ドルに上り、過去最高だった2007年のペース(約1.8兆ドル、5月中旬時点までの実績)を上回っています。

M&Aブームは、レバレッジ(資金借り入れ)ブームと表裏一体であり、前述の金融引き締めと購買力低下の壁、後述するレバレッジ拡大の壁が立ちはだかりますが、反トラストの壁もあるでしょう。トランプ政権はこれまでのところ、人気取りも幸いしてか、企業の合併・買収に幾分否定的な見解を示しています。

S&P指数の直近のマージン(営業利益ベース)は13.9%であり、データが遡れる1999年12月以降は14%を超えると頭打ちになっています。マージンの拡大は、労働分配率の低下を含め、ピークに差し掛かっていると考えるほうが自然でしょう。