日本企業の業績見通しの悪化傾向は止まるのか?
為替レート以外の注目材料とは?

ストラテジストのいまを読み解くブログ | 2018/4/26 | 前川 将吾

日本企業の業績見通しの悪化傾向は止まるのか?

年初来で悪化傾向が止まらない、TOPIXのリビジョン・インデックスの動向に注目しています。というのも、<チャート1>の【右】の通り、リビジョン・インデックス*がマイナスに転じると、日本株が下落相場入りする傾向があるからです(注:直近は+34であり、まだ下落相場入りのサインは点灯していないと考えられます)。
なお、同じような傾向が【左】の米国株式でも見られます。

*リビジョン・インデックスは、今期予想利益の上方修正銘柄数-下方修正銘柄数、アナリスト予想集計値、暦年ベース、月次

<チャート1>

出所:Factset、S&P Dow Jones Indices LLC、東京証券取引所、Bloomberg Finance L.P.、J.P. Morgan Asset Management
注:リビジョン・インデックスは、3ヵ月移動平均値。(チャート2以降も同様)
データは2018年4月3日時点で取得可能な最新のものを掲載。過去のパフォーマンスは将来の成果を示唆・保証するものではありません。



リビジョン・インデックスは、何と連動するのか?

業績見通しの修正に関しては、ドル・円レートの動向などが注目されがちですが、筆者は為替とともに、米国企業の新規受注の動向に着目しています。実際に、<チャート2>を見ると、日米株式ともに、リビジョン・インデックスはISM製造業景気指数(新規受注)**と強く連動していることがわかります。
同指数は、昨年末にピークをつけ、現在3ヵ月連続で低下していますが、来週1日に発表される4月の結果も低下するようであれば、日本企業の業績見通しの悪化傾向が止まらない可能性があります。そして、仮にそうなれば、「決算発表で日本企業の“慎重な”今年度の見通しが示される⇒悪材料出尽くし⇒日本株の“持続的な”上昇トレンド入り」とはならないかもしれません。

**米国景気の先行きを見通す上では、ISM指数の個別項目の中でも「新規受注」の動向を最も重視すべきと考えています)

下落相場入りのサインである「リビジョン・インデックス0割れ」は、いつ発生するのか?

<チャート2>の縦軸の紫色とオレンジ色の丸印に注目してください。①【左】の米国株式の「リビジョン・インデックス0割れ」は、ISM指数が「51」以下の局面で発生する傾向がある一方、②【右】の日本株式の「リビジョン・インデックス0割れ」は、ISM指数が「57」以下の局面で発生する傾向があることがわかります。
言い換えれば、①米国株式は、米国企業が不況入りへの警戒感を相当高めるような状況***になってはじめて下落相場入りする傾向がある一方、②日本株式は、米国企業が「まだ好況」と考えるような状況でも、下落相場入りしてしまう可能性があります。

(補足:“世界の景気敏感株”とみなされる日本株は、米国景気の減速に対して、“より敏感に”反応してしまうと考えれば、違和感がないかもしれません)

***ISM指数の好不況の分かれ目は「50」です

<チャート2>

出所:Factset、米サプライマネジメント協会(ISM)、S&P Dow Jones Indices LLC、東京証券取引所、Bloomberg Finance L.P.、J.P. Morgan Asset Management
データは2018年4月3日時点で取得可能な最新のものを掲載。



年後半に、日本株の下落相場入りのサインが点灯する可能性が高いと見る

それでは、リビジョン・インデックスの動向を左右するISM指数(新規受注、直近は61.9)の今後の見通しについて、考えてみたいと思います。
足元の米国経済は、完全雇用の環境下でインフレが加速しており、米連邦準備理事会(FRB)は金融引き締めの姿勢を強化し始めました。筆者はこれらの材料を考慮し、「米国の景気拡大は終盤戦に入っており、今後は景気が減速する」と見ています。
問題はその減速のペースですが、年内に米国の景気後退入りが懸念されるような状況には至らないと考えており、ISM指数(新規受注)は、米国株式の下落相場入りのサイン点灯に繋がる、「51」を下回る可能性は低いと考えています。
一方、緩やかな減速基調のもとで年後半に「57」を下回る可能性、言い換えれば、日本株式の下落相場入りのサインが点灯する可能性は十分あると見ています。

半年以上の投資期間を想定し、今から慎重姿勢に切り替えておきたい投資家がとれる対策は? ①

<チャート3>の【左】の通り、TOPIXの「リビジョン・インデックス0割れ」の局面では、高配当株式が日本株式全体をアウトパフォームする傾向があることがわかります。【右】の通り、同様の局面で必ずしも高配当株式が上昇しているわけではない点には注意が必要ですが、①下落局面で下値抵抗力があり、②長期的に見て日本株式全体をアウトパフォームしてきたことを考慮すれば、“中長期で投資をする前提で、今から慎重姿勢に切り替えておきたい投資家”は、高配当株式への投資を検討したいところです。

<チャート3>

出所:Factset、MSCI、東京証券取引所、Bloomberg Finance L.P.、J.P. Morgan Asset Management
注:(左、右)日本高配当株式および日本株式は、トータルリターン。(左)日本高配当株式/日本株式は、2000年1月末=100として基準化。(右)日本高配当株式と日本株式のパフォーマンスは、2000年1月末=100。
データは2018年3月31日時点で取得可能な最新のものを掲載。過去のパフォーマンスは将来の成果を示唆・保証するものではありません。



半年以上の投資期間を想定し、今から慎重姿勢に切り替えておきたい投資家がとれる対策は? ②

再確認になりますが、リビジョン・インデックスは、上方修正の銘柄数から下方修正の銘柄数を引いたネットベースの指標です。<チャート4>でわかる通り、過去のTOPIXの「リビジョン・インデックス0割れ」の局面でも、上方修正されている銘柄が常にあったことを考慮すれば、今後はより一層、有望な銘柄(→景気が冴えなくとも業績が堅調な銘柄)を選別して、機動的に投資を行う重要性が高まるため、プロのアクティブ運用の活用を検討したいところです。

<チャート4>

出所:Factset、東京証券取引所、J.P. Morgan Asset Management
注:リビジョン・インデックス、上方修正の銘柄数、下方修正の銘柄数は、月次、3ヵ月移動平均値。
データは2018年3月31日時点で取得可能な最新のものを掲載。