貿易とは相互依存:米中貿易戦争は悪いことにはならない その 2

ストラテジストのいまを読み解くブログ | 2018/4/25 | 重見 吉徳

昨日の続きです。

『米中貿易戦争』が話題になって久しいですが、筆者は「米中の通商関係は大事には至らない」と考えています。

その最もシンプルな理由は、「貿易とは相互依存」であるためです。つまり、「米国は中国に、中国は米国にそれぞれ依存しているために、互いに傷つけ合う可能性は低い」と考えています。

今日は、「中国がいかに米国に依存しているか」を考えてみます。

次に掲げるのは、Guide to the Marketsの15ページです。

Guide to the Markets -Japan- 2018年第2四半期 p15



【左図】を見てください。【灰色】は、世界経済全体の実質GDP成長率です(→右軸)。一方、【紫色】は、米国の貿易収支(GDP比)です(→左軸、逆目盛;上に行けば、米国の貿易赤字が拡大)。

「何となく」のイメージを持っていただくのが重要なのですが、この【灰色】と【紫色】は連動しているように見えます。

言い換えれば、「米国の貿易赤字幅が拡大(縮小)すれば、世界の成長率が高まる(低下する)」傾向があるように見えます。

米国の現在の貿易赤字は、GDP比3%です。言い換えれば「米国は100作るが、103食べる国で、3が貿易赤字に相当」します。

逆に、貿易黒字国である中国(やドイツ、日本)の立場を考えると、「中国は100作るが、97しか食べない国で、3が貿易黒字=対外貯蓄に相当」します。中国にとってみると、自国で食べきれない「3」は、米国に食べてもらっているわけです。

いわば、中国は「商店=生産者」で、米国は「お客さん=消費者」という構図です。

中国にとっては、「米国ががんばって食べてくれる」=「貿易赤字を出してくれる」ことが重要です。もしそうでなければ、中国は、生産量が落ち込む=雇用が減る=景気が悪化してしまいます。

中国(を始めとする世界経済)は、自国の生産や雇用=今日の景気を、米国(の需要・消費)に依存しているわけです。

このため、中国は、米国に対して通商上の強硬さを貫くことは困難と考えています。