ドルを売るなら、どんなポジションが考えられるか?

ストラテジストのいまを読み解くブログ | 2018/2/26

今からお伝えする為替のポジションは、あくまで現時点の考えをわかりやすく説明するために、1つのモデル・ケースを示すものです。いつもそうですが、見方は刻々と変化する点に十分にご注意ください。

為替は、多くの通貨に対して、ドルを売るポジションがよいと考えています。

まずは、場合分けをして、ドル安の見通しを検討してみます。

a) 仮に、米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを積極的に行う姿勢を見せれば、インフレ懸念は収まり、長期金利も落ち着きを取り戻すと考えられます。インフレ懸念が収まり、長期金利が低位安定すれば、昨年と同様、「ぬるま湯経済(ゴルディロックス)」の見立てが(おそらく短期的に)生じて、リスクオンが復活し、成長余力のある欧州や、そもそも期待リターンの高い新興国に資金が流れる、「リスクオンのドル安」が想定されます。

b) 反対に、FRBが利上げに躊躇すれば、インフレ懸念が収まらず、米国国債の利回り水準やボラティリティ(変動性)が上昇することで、米国国債の価値の安定性に揺らぎが生じ、ドルが売られることが考えられます。

c) あるいは、トランプ大統領がインフラ投資に前向きな姿勢を示したり、米国の保護主義が台頭したりすれば、やはりインフレ懸念が収まらず、あるいは財政悪化懸念が生じて、米国の資産や経済に対する不安から、ドルが売られることが考えられます。

いずれにせよ、当面ドル売りには安心感があると考えていますが、筆者は、ドル売りをする際には、ヘッジを効かせるために、円を含む多くの通貨に対して、これに取り組むことが重要と考えています。

これをわかりやすく考えるために、ドル売りのポジションを、「(リスクの高い)新興国や高金利通貨買い・ドル売り」と、「(リスクオフに強そうな)円買い・ドル売り」の2つのポジションに分解して考えてみましょう。

① まず、リスクオンの局面が続けば、「新興国や高金利通貨買い・ドル売り」のポジションからは利益が出ることが期待されます。一方で「円買い・ドル売り」のポジションが足を引っ張ることが想定されます。ただし、上記a)で考えたように、リスクオンのときは、昨年と同様に、ドル安も円安も生じると考えられるため、足を大きく引っ張るというよりも、「新興国や高金利通貨買い・ドル売り」のポジションからの利益のほうが大きくなるのではと、筆者は考えています。いわば、「大勝ち」はなく、ヘッジが効いているポジションです。

② 次に、米国の保護主義や財政懸念が生じれば、ドル全面安となって、「新興国や高金利通貨買い・ドル売り」のポジションからも「円買い・ドル売り」のポジションからも利益が出ることが期待されます。

③ 最後に、リスクオフが生じるならば、リスクマネーを供給しているドルと円が買い戻され、ドル高・円高になります。この場合、「新興国や高金利通貨買い・ドル売り」からは損失が生じますが、過去のパターンに従えば、ドルも強いが円はもっと強くなることで、「円買い・ドル売り」のポジションからは利益が出ることで、「新興国や高金利通貨買い・ドル売り」のポジションから生じる損失を幾分相殺すると期待されます。

ただし、1つの懸念材料は、最近になって、誰もがドル安を唱え始めたことです。多くの人が言い始めて、見方が一方向に偏ると、終わりが近い場合があります。(重見 吉徳)

Guide to the Markets -Japan- 2018年第1四半期 p22