米国株式の上昇相場の「終わりの始まり」のサインが点灯するか

ストラテジストのいまを読み解くブログ | 2018/2/5

足元の『適温相場の終わりの始まり』や『流動性相場の巻き戻しの始まり』の裏側で、米国株式と米国10年国債の価格リターンが、順相関に転じる可能性が急速に高まっています。通常は、米国株式が上昇(下落)するときに米国国債は下落(上昇)するという逆相関の関係にあり、これは資産運用を行う上では分散効果を享受できるという点でメリットがあります。裏を返せば、足元のように「分散効果が効きにくい局面」は、(特にロングオンリーのマルチアセットの)運用担当者にとって悩ましい局面になっていると考えられます。

このような悩ましい局面は、実は過去20年間で3回訪れています。具体的に、米国株式と米国10年国債の相関がマイナスからプラス圏に急上昇し、ピークをつけるまでの期間を見てみると、①1999年から2000年初頭(→ITバブル時)、②2005年半ばから2006年後半(→住宅バブルのピーク前後)、③2013年後半(→バーナンキ・ショック後)となっています。いずれも、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融引き締めが意識され、米国10年国債利回りが上昇傾向にあった局面であるという点で、足元との共通点が見られます。

 

米国株式(S&P500)と米国10年国債の相関(図1)

期間:1998年1月1日~2018年2月2日

 

まさに今、過去と同じようなきっかけで米国株式と米国国債の相関が順相関に転じようとしている中での投資家の関心事は、「過去3回の同様の局面の後に、いったい何が起きたのか」ということでしょう。この点に関して、(ⅰ)株式市場と(ⅱ)債券市場に分けて特徴を整理すると、以下の通りになります。

(ⅰ)株式市場:過去3回とも、米国株式と米国10年国債の相関がピークを打つ前後に、米国株式の価格リターン(前年比)は低下し始め、やがて本格的な下落相場を迎えたことがわかります(チャートの緑色のラインを参照)。

 

米国株式(S&P500)と米国10年国債の相関と、米国株式のリターン(図2)

期間:1998年1月1日~2018年2月2日

 

(ⅱ)債券市場:過去3回とも、米国株式と米国10年国債の相関がピークを打つ前後に、米国10年国債利回りは低下基調に転じています(チャートの青色のラインを参照)。これは、金利上昇後に米国景気が鈍化し始め、FRBも金融引き締めの姿勢を弱めたことなどが主な背景であると考えています。(注:FRBは、2000年半ばや2006年半ばで利上げを停止したほか、2013年のバーナンキ・ショック後には、FRBは量的金融緩和の第3弾(QE3)からの出口をかなり慎重に進めました)

 

米国株式(S&P500)と米国10年国債の相関と、米国10年国債利回り(図3)

期間:1998年1月1日~2018年2月2日

 

以上をまとめると、米国株式と米国10年国債が順相関に転じるということは、やがて米国株式の上昇相場の「終わりが始まる」ことのサインであるとともに、やがて米国長期金利の「長期低下トレンド」が始まるサインでもある可能性があります(注:重要な点として、順相関に転じた後すぐに米国株式の上昇相場が終わったり、長期金利が低下トレンドに転じるわけではないと見ています)。

次回は、米国株式と米国10年国債が順相関に転じ、それが逆相関に戻っていく局面で、避けたほうが良いと考える投資戦略について紹介したいと思います。(前川 将吾)

 

【図1】【図2】【図3】
出所:ICE Data Indices, LLC、S&P Dow Jones Indices LLC、Bloomberg Finance L.P.、J.P. Morgan Asset Management
注:相関は過去52週の価格リターン、過去のパフォーマンスは将来の成果を示唆・保証するものではありません。