2018年の変化①「米国の物価:ディスインフレ→インフレ」その 1

ストラテジストのいまを読み解くブログ | 2018/1/23

今日は、2018年に生じうる変化の1つである、「米国の物価:ディスインフレ→インフレ」について考えてみます。「ディスインフレ」とは、ひとことで言えば、低インフレが継続する状態です。

『物価は経済の体温計』とも呼べる存在です。ジョギングをすると、心拍数や体温が上がり始めます。これと同様に、経済取引が活発になり(≒景気が良くなり)、財やサービスの生産がフル稼働に近くなると、生産に使われる原材料や労働力が希少になり始め、原材料価格や賃金、やがては最終財・サービスの価格に上昇圧力が生じると考えられます。

考えるべきポイントは2つです。①経済が完全雇用≒フル稼働に近いかどうか、②物価上昇にはラグがある(→景気が良くなり、フル稼働に近づいた後、しばらく経ってから、物価が上がり始める)ということです。

先に②を確認してみましょう。下図では、【紫のライン】が世界全体の企業景況感(製造業)、【青のライン】が米国のインフレ率を、それぞれ表しています*。

 

 

Guide to the Markets -Japan- 2018年第1四半期 p9



重要な視点は、①どちらも循環するということと、②(金融危機でもない限り)上限や下限がありそうだということです。景気は循環します。インフレ率も上述のとおり経済活動に「従属」する以上、循環をしますし、中央銀行は「デフレや高インフレにならないよう」にコントロールしようとします。

直近の水準に目を移すと、【紫のライン】の景況感は上限に近づきつつあり、世界景気の強さが示唆されています。一方で、【青のライン】のインフレ率は下限に近付いて反発し始めたように見えます。景気の力強さにラグを持って、循環的に反発し始めた可能性があります。

また、1999年から眺めると、景況感が先に動き、その後に物価がついてくるように見えます。

世界の企業景況感は、2016年の初め頃に底打ちをし、実体経済(例えば実質GDP成長率)はこれに数ヵ月程度遅れて底打ちをしています。この小さな景気拡大の局面は2年程度、続いていますから、今後インフレ率が循環的な上昇を見せるだろうと見込んでいます。

*インフレ率は米国のみを見ていますが、グローバル経済全体を考えれば、米国のインフレ率は、他の国や地域のインフレ率に先駆けて循環を見せる可能性があります。米国は世界最大の貿易赤字国であり、言い換えれば世界最大の消費者です。米国の景気が良くなり(≒輸入が増えて)、他国の景気が良くなる(≒輸出すなわち生産が増える)ように、米国がフル稼働に近づいて米国のインフレ率が上がれば、(例えば、原材料価格の上昇や、ドル高の裏側での自国通貨安として)他国のインフレ率が上がっていくと考えられます。(重見吉徳)